エコキュート
「空気の熱」でお湯を沸かすシステム
エコキュートとは、簡単に言えば、環境を考え開発されたヒートポンプ式の家庭用給湯システムのこと。
主な特徴は、コンプレッサーで大気の熱を汲み上げ、給湯の熱エネルギーをつくるヒートポンプシステムなので、使用する電気エネルギーに対して約3倍の熱エ ネルギーを得ることができること。また、ヒートポンプシステムの冷媒としては、従来のフロン系冷媒ではなく、自然界に存在するCO2(二酸化炭素)を使用 するため、オゾン層破壊や温暖化ガス排出の抑制につながること。そして、昼間よりも割安な夜間電力を使用し、効率的なヒートポンプシステムと組みあわせる ことでランニングコストを低減できること、などが挙げられるでしょう。
従来からある電気温水器は、ヒーターで水を沸かしますが、エコキュートは自然冷媒であるCO2を使ったヒートポンプシステムによって、大気中の熱を汲み上 げ、給湯に必要な熱エネルギーとして利用するもの。形状としては、ヒートポンプユニットと貯湯ユニット(タンク)のふたつからなります。
ちなみに、エコキュートという名称は商品名ではなく、電力会社や給湯機器メーカーが「自然冷媒ヒートポンプ式電気給湯機」を総称する愛称。カタログなどを見るとわかるように、さまざま なメーカーの商品についている名称です。
家族構成や住まいに合わせて選ぶ
エコキュートには、スタンダードなタイプのほか、薄型やコンパクトサイズ(省スペースタイプ)のタイプ、集合住宅用もあります。
選ぶ際に注意したいのは、タンクの容量。家族構成やライフスタイルに合わせて選ぶことが大切ですが、おおまかな目安としては、2~3人家族であれば300リットル、3~5人であれば370リットル、4~6人であれば460リットル程度でしょう。
また、3階にバスルームを設置する場合などには、パワフルなシャワーが可能な高圧タイプや水道直圧タイプを選ぶことが必要ですし、エリアによっては、錆や潮風に強い塩害タイプや低外気温でも作動可能な寒冷地タイプを選ぶことも必要になるでしょう。
機能や使い勝手も向上
各メーカーから提案されている最近のエコキュートをみてみると、その機能や使い勝手はますますアップしてきています。フルオートタイプ、セミオートタイ プ、給湯専用も揃い、小さなお子さんやお年寄りの入浴時でも安心な双方向会話機能や音声ガイダンスなど、浴室リモコン、キッチンリモコンの機能も各社工夫 を凝らしています。
エコキュートには学習機能が付いており、それぞれの家庭のライフスタイルにあった湯量を過去の使用量などから判断、必要な量だけを湧き上げてくれること も。加えて細かな付加機能タイプもあるので、上手に設定すれば、無駄を減らし、省エネ効果をアップさせることもできるでしょう。他の電気設備や家電と同様 に、ホームエネルギーマネジメントシステム(HEMS)とつなげることも可能です。
また、給湯や風呂自動お湯はり以外に、浴室換気乾燥暖房や床暖房と連動するタイプもあるので、プランニングの際には、エコキュート単体での機能だけでなく、住まい全体に必要な機能を考慮して検討することも大切でしょう。